Masuk 魔物の群れに向けて魔法を放つ、サンダー・ジャベリン。文字通り雷の槍だ。スキル弱点看破で目に映るのは相手の
ズドン! バチバチッ! バリバリバリィ!!
眉間を射抜かれながら追撃で電流が敵の全身を駆け巡る。今相手にしているのはビッグ・ボア、所謂でっかい猪だ。食べると美味いらしい。10頭程の群れだが、3頭急所を外してしまったのでまだまだコントロールが足りないな。仕方ない、残りは武器で対応しよう、鞘から抜き取ったのは女神刀。さすがに和名の日本刀には横文字は使わなかったみたいだ(笑) アリアさん、分かってらっしゃる。
まだ『抜刀術』は難しい、鞘の中で摩擦を起こし剣閃スピードを上昇させるということだが、刀剣を鞘から抜き放ち、さらに納刀に至るまでをも含めた動作が、高度な技術を有する武芸として成立しているくらいだ、一朝一夕で出来るものではない、普通に振り回すのがまだ精一杯だ。
残りの猪に向かって加速する。丁度3頭魔法で痺れて眼前に並んでくれている、
「アストラリア流
弱点の眉間に向けてほぼ同時に瞬速の3連撃を1頭に1撃ずつ放つ、虎のツメの如き三連撃。
「
ザザシュッ! ザヴァァーン!!!
全て的確にヒットした。断末魔とともに巨体が崩れ落ちる。
<レベルアップしました、スキルの更新を行います>
お、レベルも上がったな。
「ふう、結構頑張ったな、ちょっと休憩しよう」
自身に新しく習得した気配遮断と物理結界に魔法結界を張る。俺の存在が認識されにくくなる。透明人間みたいなもんだ。とりあえず狩ったビッグ・ボアを片っ端から
【狩った魔物は体の部分が素材になったり、食材になったりしますからー、街のギルドで売って路銀に代えましょう。その時についでに冒険者登録をしておくといいでしょうねー】
ということらしい。なので最初に倒したクマさんから全部そこに突っ込んである。ちなみにこの中に入れている間は時間の制限がないらしい。新鮮なままお届け可能なのだ。クール便のようなものだということにした。そしてどのくらいものが入るのか聞くと、地球くらいの星一個分くらいじゃないですかねー? と適当な返事が返ってきた。そしてもし家を買ったりしたら家ごと持ち運べるからどこに行っても自宅に帰れますよー(笑)とのこと。謎テクノロジー、やっぱ異世界すげーわ。
ちなみに今は街道の近くの広々とした場所に移動している。ちょっと小高い丘みたいなところだ。森の魔物は狩り尽くしてしまったため、こちらまで移動してきたのだよ。それに森の中で火魔法は燃え移ると危ないからね。俺は自然に優しい男なのだ。
頭に手をやって、足を組んで仰向けに寝転がる。そろそろ日が暮れてきたな。美しい夕暮れだ。景色の素晴らしさを堪能するだけでも転生した甲斐があるなと思う。寝転んだ草の上も気持ちがいいし、懐かしい感じがする。
「今日はこのくらいにしとこうかね。ほぼ丸一日バトルしてきたし、学ぶことが多すぎて結構疲れた。情報量が多過ぎる」
【そうですねー、転生初日なのにかなり頑張りましたし。魔力コントロールに武器の扱い、魔法の練習と、努力家ですよね、カーズさん。レベルもかなり上がっていますからあとで確認しましょう】
そうなのだ、アリアのスパルタ修行でかなり色々出来るようになった。さすが女神様、教え方も教師をやってた自分よりよっぽど上手いと思った。多少ざっくり系だけど。最初は酷いものだった、走るスピードも制御できずに岩壁にぶつかるし、魔力制御を誤って魔法で森林破壊しまくってしまった等々。それでも人間って慣れるものなんだなーと思う。徐々に感覚が掴めてしまう。これぞ慣性の法則? 学習するもんだなあ。
先ず、大体魔力なんてものは地球にはないんだ。それを操ることなんて初めての試みだった。呼吸するときに酸素が体中を巡り、血液が循環するのを感じることはなんとなく分かる。それと同じ様な感覚で魔力を感じるようにするということだった。……ぶっちゃけ難しいし意味わからな過ぎた上に、何時間か座禅を組んで練習させられた。
『流れが分かればあとはギューンと練ってドーン! と出しますよー』、と最後の部分だけがざっくりなのだ。とりあえず自主練をした方がいいだろうな。
後は剣技というか格闘に関してだが、こればっかりは実践で感覚を覚えるしかないので、初歩的な型、構えや足の運びを習った。『最後にグッと踏み込んでドン! ですよー』と、やはり肝心なところがざっくりなんだよ。
うん、やっぱ俺のが教え方上手いわ、前言撤回。バトルの中でアドバイスを貰う程度が調度良い。ということで疲れたー。
(そういえば空腹感も特にないし、喉もあんまり乾かないな。あれだけ動き回ったのに)
目が覚めた時は多分まだ午前くらいだったと思うし、今はもう日が暮れていっているというのに。謎だ。まーたアリアの因子? のせいかもな。
【カーズさんの肉体は主に魔力が動力ですからねー。これも私の因子の影響でしょうけど、飲まず食わずでも魔力さえあれば特に問題はありません。ただ飲食しない代わりに魔力がその分消費されますから、食べた方がいいでしょうねー】
(てことはどんどんMPが減ってるってことか? ヤバいじゃん、MPなくなるんじゃないのか?)
【一応装備に
マジかよ……、マイナスとかあるのか? そいつは新しいな。でも気を付けるに越したことはない。そんな状態で襲われたりしたらシャレにならん。人前で
(じゃあこの装備外したら、要するに勝手にMP消費されんの? 今の口振りから男の状態でいるのに魔力消費してるってことになるんじゃないか?)
【おおっ、鋭いですねー! ビンゴです。だから休むときは女性の体に戻った方がベターですね。一応
ダメだこいつ……、沼に誘ってやがる。早く何とかしないと……。
(……男性用で。てか事あるごとに女にさせようとすんな! 俺は男なんだよ!)
【そんな美人な男なんていませんよ(笑) 鏡見直しますか? もう私と姉妹になってお姉ちゃんって呼んでも構いませんよー(笑)】
いい加減にしろよ、(*´Д`)ハァハァしやがって。調子に乗ってやがる。
(お前がそういう設定にしたんじゃねーか! もう俺は風呂にも入れねーよ、服脱げないってことだろ?)
【あははー、仕方ないですね。ではMPを維持するアクセサリーでも差し上げますねー。
そんなものあるなら最初からくれ。絶対このやり取りしたかっただけだなこいつ。
(俺で遊んでるだろお前……。もったいぶって)
【あ、バレましたー? じゃあリングと普段着両性用セット、プレゼントです。
(リングと男性用だけで良かったのにな……、はあー。女になりたい気分とかないから)
とりあえず指輪を取り出す。そして鑑定。
<アストラリア・リング(S:カーズ専用)>
物理耐性:100
魔法耐性:100
付与効果:
: 状態異常耐性(S)
またSランクか、すげーな。そして右手の中指にはめる。ちなみにどちらの普段着もSランクだった。もう普段着で戦えるんじゃねーの? 女性用もわざわざ見たのかって? 一応だよ、一応! 気になってるわけでも興味があるわけでもないからね。ただの好奇心だよ好奇心! 同じだね、取り乱したよ。
【では遅いですしー、街にでも行きますかー? 宿も空きがある内にー】
……少し考える。ここから丘を下った辺りに壁に囲まれた街が見える。今からだと日が沈むころには着くだろう。だがこの綺麗な空の下、気持ちいい草の上でゴロゴロしていたいし多分満天の星空が見えそうだ。気配遮断も結界も張ってるし。急ぐこともない。
(いいや。別に急ぐ目的もないし。このままここで寝転んでたい。装備のおかげで体はキレイに保たれてるし、不快感もないし快適だしね)
【そうですねー、確かにのんびりしても問題ないでしょう。おしゃべりしながら野宿しましょうか。私も一応結界張っておきますしー】
そういえば精神だけを飛ばしてるのになぜここに結界張れるんだろうか? その内聞いておこう。
(ありがとうアリア。そんじゃ話でもしながらのんびりしようぜ。神様と話せるなんてそうそうないんだし)
ふふっとアリアが笑う。
【確かにそうですねー、私も下界で人間と話すなんて何千年もなかったですし。私のことをお前呼ばわりするのなんてカーズさんくらいですし、貴重です(笑)】
(あー……、悪ノリしてるときに言っちゃったな。どうもすいません)
【いえいえ、それくらいざっくばらんな方が私も楽しいですし。その内駄女神とか言われちゃいそうですねー(笑)】
(そっか、なら良かった。駄女神って呼ばれたいなら言うけど(笑) フリなら乗るよ? でもまだそこまでのポンコツ感は出してないよね?)
【では呼ばれないように頑張りますよー。何でも聞いて下さいなー】
何でもかあ……、て言うか知らないことばかりだもんな。何から聞いたもんか……。少し独り言ちてから、まずはこの世界については知っておくべきだよな。確か『ニルヴァーナ』って言ってたよな、ロックな世界なのか?
(まずはこの世界についてかな、価値観とか世界観とか?ファンタジーなら魔王とか勇者とかそんなのもいるのかとか? この世界の常識ってやつを俺は知らないし)
聞いたくせにやけにふわっとした質問だ。もうちょい具体的なことを聞いた方がよかったかも知れないなあ……。
【中々に漠然とした質問ですねー】
ほらな、もし俺が『地球ってどんなの?』って聞かれたらやっぱ困る。ふわっとして範囲が広過ぎる。
【とりあえずこの世界は『ニルヴァーナ』と呼ばれていますとは先程述べましたね。意味はご存じですかー? 確かカーズさんは外国語の教師でしたよねー】
外国語って言ってもたくさんある。俺が知ってるのなんてたかが知れてる。まあでも普通の人よりは知識はあるつもりだが……。
(サンスクリット語で『
元々インドとかの仏教的な感じの言葉だ。しかも古代の。それに響きが厨二ぽいからゲームとかでもよく聞く。深い意味は知らない。ちょっと調べた程度だ。
【博識ですねー、地球だと古代インド・アーリア語に属する言語で、インドなど南アジアや東南アジアにおいて用いられた古代語ですねー。文学、哲学、学術、宗教などの分野で広く用いられています。ヒンドゥー教の礼拝用言語でもあり、大乗仏教でも多くの仏典がこの言語で記されていますし、現在もその権威は大きくて、現代のインドでも憲法の第8付則に定められた22の指定言語の1つですねー。この附則が制定された時に指定された15言語にサンスクリットはすでに入っていて、インドの紙幣にもサンスクリットでの金額記載は含まれていたりもしますよー】
おぉ……、すげえ。さすが神様。全然知らなかった知識をペラペラと。伊達じゃないな。ちょっと尊敬する。
【では『
(えーと……、確かお
【まあ大体は合っていますね。釈迦が入滅した際に、ロウソクの火が静かに消えるように亡くなったことから、涅槃という言葉を使ったと言われています。その様子から『吹き消す』という意味もあります】
ん? じゃあこの世界は滅びたって意味になるのか? なんか物騒な話になってきたぞ。でもこんなに自然がいっぱいあるし。地球より絶対緑豊かな気がする。
【
(それがこの世界とどう関係するんだ? まさかファンタジーやらによくある、先史文明が滅んでその後一から作られた世界ってことか?)
そんなのよくあるテンプレの世界観だ。でも実際にそういう世界に自分が存在してるっていうのは少々うすら寒い気がする。
【そうですねー……、地球の人間たちの発想とは非常に突飛です。そういう設定を空想し考えて作品にしたりするんですからー】
おっと、どうやら本当らしいぞ。ちょっと怖くなってきた。
(で、それが本当だったとして。その先史文明はどうやって滅んだんだ? 地球みたいに核戦争とかでもあったのか? それで全部滅んだとか、自然破壊で人間やら全て絶滅したとか? でもそれだと『悟り』とは言えないんじゃないか? 自業自得だろ? 俺も地球はもう滅ぶとは思ってるけどさ)
地球の環境汚染やら、核実験の被害なんか滅茶苦茶だ。今でもどこかで戦争や自然破壊は起きている。大国が戦争を起こしていたし、核戦争になるのなんてその権力を持った人間の采配一つでどうとでもなる。
【ここから先は禁則事項になるのですが……。カーズさんは私の因子を持った半分神のような存在なので、口外しないという約束付きでお伝えします。いいですかー?】
口外なんてしない。ていうかできる人もいないし。ぶっちゃけここ最近は誰かとつるんだりするのも好きじゃなかった。それにここまで聞いたら最後まで聞きたいし、知っておくべきだ。俺が今生きている世界なんだし。
(しないよ、そんな大それた話。それに誰も信じないだろ。DQNと思われたくないしな)
【それを聞いて安心しましたー】
(大丈夫だって。やっぱり核戦争? それとも自然破壊?)
【……、大虐殺……です】
(!?)
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<カーズ(・ロットカラー) ∞歳(18~20歳相当)男
称号 :女神の戦士
Lv :52(+50/装備補正)
HP :3780(+500/装備補正)
MP :5800(+500/装備補正)
筋力 :230(+250/装備補正)
敏捷 :350(+150/装備補正)
魔力 :4200(+350/装備補正)
物理耐性:250(+2750/装備補正)
魔法耐性:350(+2750/装備補正)
幸運値 :125(+100/装備補正)
<装備>
<アストラリアソード(S:カーズ専用)>
物理攻撃力:1250
魔法攻撃力:∞(込めた魔力量により最大値増加)
<女神刀(S:カーズ専用)>
物理攻撃力:1250
魔法攻撃力:∞(込めた魔力量により最大値増加)
<アストラリアナイフ(S:カーズ専用)>
物理攻撃力:1250
魔法攻撃力:∞(込めた魔力量により最大値増加)
<バトルドレス(S:カーズ専用)>
物理耐性:1200
魔法耐性:1200(込めた魔力量により最大値増加)
付与効果:
:状態異常耐性(S)
:魔力ヴェール(S:物理/魔法防護膜を自動展開/
込めた魔力量で範囲/効果上昇)
:HP+500
:MP+500
:筋力+150
:敏捷+150
:魔力+150
:物理耐性+150
:魔法耐性+150
<ドラゴングローブ(S:カーズ専用)>
物理攻撃力:1250
魔法攻撃力:∞(込めた魔力量により最大値増加)
物理耐性:550
魔法耐性:550
付与効果:
(S:
:筋力+150
<ペガサスブーツ(S:カーズ専用)>
物理耐性:350
魔法耐性:350
付与効果:
<グリフォンプレート(S:カーズ専用)>
物理耐性:550
魔法耐性:550
付与効果:魔力+150
:幸運値+100
: Lv+50(S:レベル上限アップ)
<アストラリア・リング(S:カーズ専用)>
物理耐性:100
魔法耐性:100
付与効果:
:状態異常耐性(S)
<アクティブスキル>
アストラリア流格闘術(全武器対応/奥義×)
聖魔法(A)
闇魔法(B)
火魔法(A)
水/氷魔法(A)
風/雷魔法(A)
土魔法(A)
時空魔法(B:空間転移)
空間魔法(A:
召喚/テイミング(B)
鑑定/弱点看破(S)
空歩<瞬歩
追跡(S)
探知/逆探知(S)
気配遮断(S)
魔法/武具創造(A)
精神耐性(SS)
魔眼:
通信/念話
物理結界
魔法結界
<パッシブスキル>
アストラリアの加護(SS:全耐性大幅アップ/日に1度致死ダメージ無効化)
隠蔽(S)
言語理解(S)
交渉術(S)
並列同時思考
超成長(経験値/スキル)
経験値共有(PTへ分配)
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ヨルムに乗って南門の外まで飛ぶ。「来い! 神剣ニルヴァーナ!」「お願い、ルティ!」「あいよー」「星芒より来たれ! クローチェ・オブ・リーブラ!」 各々が自分の武器を構える。南門前に着地させたヨルムから見る、南門に迫り来るベヒーモスの大軍。東門の方にも反応がある。黒や青や赤など、様々な色をした数十m以上はある巨体に、二本の巨大な角、四足歩行の全身を分厚い獣皮が鎧の様に覆われている。こいつは確かに並の武器じゃ傷一つ付けられないだろうな。 だが俺達には神格に神気、神器やそれに匹敵する武器がある。怖れることはない。そして神気を放った状態でヨルムと両親の再召喚を行った。陽子を破壊できる俺達にとっては紙切れも同然だ。「先ずは挨拶代わりだ。いけ、ヨルム!」「任せよ主! 受けろ、我が輝くブレスを!」 ドゴアアアアアアアアアアアアッ!!! 神気を纏った極光の竜の息吹が、放射線状に放たれ大地を敵ごと抉る! グギャアアアアアアア!!! 凄まじい威力のブレスに、迫り来るベヒーモス共が粉砕されていく。だがまだまだだ、俺の千里眼と鷹の目には、南東にある大迷宮から次々に敵が飛び出して来ているのが視える。どんだけいるんだ? 数万は下らないだろうな。だが俺達だけで掃討する!「アヤ、母さん! 南門の防衛と援護は任せる!」「任せて!」「はーい、漸く母さんの出番ねー」 ババッ! 飛び降りる二人。「イヴァ、親父! 東門にも反応がある! 二人はそっちを頼む!」「よっしゃー、行くぜ猫嬢ちゃん!」「任せるのさー!」 ダンッ!!「全員逆探知を発動させて自分達にターゲットを絞らせろ! エリック、ユズリハ、ディードは目の前の敵の掃除を任せる!」「はい! カーズ様!」「オッケー!」「任せときなー!」 ドンッ! 同時に飛び出す三人。「アリア、視えてるんだろ? 操られてる神獣達が」「ええ、神龍ケツアルコアトルにグリフォン、フェンリルにフェニックス。どうやら大将首は神鳥フェニックスに乗っていますね」「なるほど、ダカルーのばーちゃんの時と同じだな。アリア、グリフォンはお前がどうにかしろよ。ケツアルコアトルは、竜王兄妹、お前達に任せる! 行け!」「ハイハーイ、気が乘らないけど行って来ま―す」
舞台に乗ってストレッチをしていると、逆方向からハゲが上がって来た。「「「ハーゲ!!! ハーゲ!!!」」」 うーん、凄い声援だが地味に悪意を感じるな。まあ、あんなのでも国民には愛されてるのかな? とでも思っておくか。俺が毛根破壊したんだが、ちょっと不憫だ。「やはり貴様とは殺り合う運命のようだな。神殺しのカーズ!」 また変なことを言い始めたなあ。厨二か? やだやだ。それにダメージ肩代わり魔道具あるから死なねーよ。「いやいや、偶々くじ引きでそうなっただけだろ? 俺もあの竜騎士と闘いたかったんだけどなあー」「フッ、そうか。俺と闘うのが怖かったということだな」「いや、あいつの方が強いだろ? 意味の分からん敵意をぶつけてくるから、ぶっちゃけお前は面倒くせーだけだ」「おのれ…、貴様……!」「聞いたけどさー、お前自分がSランクの最速保持者だったんだろ? 所詮記録なんていつか塗り替えられるもんだ。今の最速はウチのニャンコだ。そんなしょうもない程度のことでイラついてたらストレスでハゲるぞ? あ、悪い、もうハゲてるんだったな。ごめんなー、ストレスかけて。俺に勝ったら治療してやるよ」 まあこいつの態度次第だけどね。「くっ……、貴様にはSランクの誇りは、プライドはないのか!?」 何だそれ? プライドチキンにプライドポテトか?「ねーな。そんなのしょうもないもんがあったら20ギールで売ってやるよ。後、ウチのPTが美人揃いだとか、邪神を斃したとか、そう言うのが気に入らないんだってな? 只のやっかみだろ。お前はガキか? そんなことにエネルギー割くくらいなら鍛錬でもしろよ、くっだらねーな」「貴様ああー…! 言わせておけば……!」 語彙が少ないなあ。そんなんで口で俺に勝てるとか思わないことだな。これでも元教師、アホなモンペのクレームとかで慣れっこなんだよ。いくらでも口が回るからな。『さて遂に最終戦ですが、ここまで我がリチェスター勢は連戦連勝。そしてリチェスター及び、現在世界中のSランク最強のカーズさんが相手。ハ、ゲフンゲフン、ガノン選手には打つ手がありますかね? アリアさん』『うーん、いや無理ゲーでしょー。レベルも3倍以上の開きがありますし、カーズはああいうヘイトばら撒く小物が大っ嫌いですからね。まあでも手加減しながら色々と技
魔導具を起動させて、エリックが舞台へと上がる。そして逆方向からは竜騎士のカセルが舞台へ跳び上がって来る。「「「カセル!!! カセル!!!」」」 凄い声援だな。先程のソフィアの時も凄かったが、この人は相当の人気だ。青銀と群青色の色彩の全身鎧だが、昨日の暗黒騎士のサウロンよりは軽量だ。頭にも竜の頭を模した様なヘルム。FF4の竜騎士みたいな装備だ。そして武器はやはり槍か。穂先が結構長めのスピアだな。刺突にも斬撃にも対応可能な2m程の長さの槍。鑑定、ドラグーン・スピアね……。やはりSランクか。何処で手に入れたんだろうな? 後で聞こう。 スピアとは英語で『槍』を意味する言葉の一つ。槍全般を指す場合は『スピア(spear)』が一般的だが、馬上槍は『ランス(lance)』、長槍は『パイク(pike)』など呼び分けはされている。最も、スピアタイプの槍をランスと呼んでいたりもして、呼称の使い分けは厳密ではない。 スピアとランスはよく混同されるが、決定的な違いがある。スピアは片手もしくは両手で扱うことができる歩兵槍のことだ。振り回し、先端に付いた刃で刺突・斬撃が可能。投擲用のスピアは『ジャベリン』とも呼ばれる。 対してランスは、中世から近代まで主にヨーロッパの騎兵に用いられた槍の一種。語源はラテン語で槍を意味する『ランケア(lancea)』、日本語では、『騎槍』とも訳される。単純に馬に乗った状態での専用武器のため、馬に乗ってない場合は全く使えないシロモノだ。 戦場だけでなく馬上槍試合でも用いられたランスは、『兜・鎧・剣・メイス・盾』と並ぶ、騎士を象徴する装備の一つであり、ファンタジーRPGなどでは、細長い円錐の形に『ヴァンプレート』と呼ばれる大きな笠状の鍔がついたものがよく描かれているが、必ずしも全てのランスがその形状をしているわけではない。 ランスと他の槍との決定的な違いは、基本的に刃物がついておらず、棒の先が尖っているか、前述した円錐型をし、敵対者を突き刺して攻撃するのが最も効果的な武器である点だ(この先端の形状は国によって異なる)。また、長さも特徴の一つで 一般的な片手武器の中でずば抜けて長く、4~5メートルを超えるものもあり(一般的なランスは扱い易くするため2m前後だが、それでも片手武器では一番長い)、接近戦闘用の
Sランク同士の興行試合の日になった。時間的には昨日と同じくらい。みんなリラックスしながら俺の部屋でスタンバっている。後は城の使いの人が迎えに来るのを待つだけだ。 昨夜の夜這い連中はアヤが目を覚ました時に、ベッドの左半分を占拠する様に鼾をかいてだらしなく寝ていた。そして事情聴取からの当然怒られていた。だからやめろって言ったのになあ。「「「「次はうまくやるし/やります/やるわー/やるのさ……」」」」 まあどう見ても反省してないけどね、こいつら……。全く、なんでこんなことをするんだか……? しかもまたやる気だし…もう知らね。「今日もアリアの姿がないということは……、やっぱり実況やるんだろうな」「昨日楽しそうだったもんねー」 アヤが答える。だよなー、絶対面白半分でやるだろうな。「盛り上がってたし、いいんじゃないの?」「今更なあー、あの人に何か言っても無駄だろうぜ」 エリユズの言う通りだな。あのアホは面白いと思ったことに対しては全力で命をかけてでも取り組むやつだからなあ。取り敢えず俺は両親がゲストに呼ばれないことを祈ろう。念の為に後で念話も送っておくか。「今日は恐らく昨日以上にレベル差がある分、更に一方的になるだろう。相手の仕掛けて来るスキルやら魔法、魔力撃も全て俺らに傷をつけられない。だから取り敢えずは一通り相手の手の内を見てやろう。俺達が先に仕掛けたら、そこで試合終了だ。一応イベントだし、多少は盛り上げさせないとな」「面倒臭いけど、仕方ないわよねー」「ちんたらしてたら先にしばきそうだけどなー」 この二人の戦闘狂なら充分ありえそうだが、折角の貴重な対戦だ。一瞬で終わらせるのは勿体無い。「まあ、そうかも知れないけどなあ。一応相手の戦術やらを見てみようぜ。相手のが俺達よりも形式上は先輩なんだし。あ、そう言えば俺はあのハゲと対決させられるんだろうか? ぶっちゃけ嫌なんだけど」「昨日の対戦順とかも勝手に決められてたし、違う相手かも知れないよ?」 アヤが言う様に、確かにプログラムとかもなかったし、世界的なイベントの割には意外と杜撰だよな……。勝手に実況までやってたくらいだし。盛り上がれば何でもいいのかね? 文化が中世だしそこまでキッチリじゃないのかもな。「そうだな。まあ誰が相手でもいいか。あのハゲは豪
うーん、どうしてこうなった……? 二回目。 城下のお祭りから、まだ食い続けているアリアを放置して某人気走る娘の様に腹ポコ状態のイヴァとルティを回収して帰って来た迄はいい。そしてみんなで一旦風呂にしようということで大浴場に向かった。普通は男湯に入るよね? でも女性体状態でピンクの浴衣に髪の毛も飾られている状態で男湯の暖簾を潜ろうとしてた俺は、女性陣に全力で止められた。まあ、冷静に考えたらこの状態で入るのは問題あるよね。中で男性体に戻ればいいんだが、その前に絶対に全身を「なんだなんだ?」って感じで見られるだろうし……。 でもね、躊躇なく女湯の暖簾を潜れる程、俺は自分を捨ててないんだよ。女性陣に散々説教されて、仕方なく女性体のまま女湯に入り、体を洗って、髪の毛は何故かみんなが我先にと言わんばかりの勢いで洗ってくれた。いやあ、ありがたいけどツラいな……。「お前は毎回無駄に苦労するよな……」 というエリックからの同情と憐れみの視線はともかく、「女風呂に堂々と入れるとか最高っすね、兄貴は!」 と思春期丸出しの発言でチェトレに蹴られていたアジーンにまで、変な気の遣われ方をされるというツラさ。まあね、見た目の性別は変えられるよ。でもねー、中身? 精神は男なんだよ? ウチの女性陣が多分おかしいんだろうと思っていたんだが、いや寧ろ気を遣ってくれているのかも知れないと最近は思う様になってきた。自宅でも女性陣の方が堂々と「一緒にお風呂に入ろうよ」と言って俺を連れて行く。その後で「女性体になってね」って言う感じで。 実際女性体の方がリラックスできるってのはある。男性体を維持するための全身の魔力の緊張を解きほぐすには女性体の方がいいんだよな。それに男性体でも顔の見てくれがね……、てことで男性陣は余り一緒に風呂ってくれない。全くこの思春期童貞共め……! 女性陣の方が度胸があると言うか恥じらいがないと言うか、肝が据わっている感じだ。一応男なので極力見ない様にしているけど、向こうは堂々と見て来るし、モロに触って来る。もうね、距離感がわからんのだよ。イヴァとかルティは子供と風呂ってる様な感覚、アガシャもそんな感じだ。まあ大抵はアヤも一緒だしな。と言うかアヤがいないとさすがに気が引ける。 タチが悪いのがユズリハやチェトレ、アリアのアホとくっついて
うーん、どうしてこうなった……? 祭典、夕暮れのお祭りの街中をみんなと歩いている俺は浴衣を着ている。いや、浴衣が悪い訳じゃないんよ。なぜピンクの女性用の浴衣もろもろのお祭りセットを着せられているのかということだ。そして仕方ないので勿論、女性体になっている。さすがに男性体の状態では違う意味で着れない。このお祭り堪能セットを用意していたのはやっぱりアリアだが、持って来たのはアヤだ。しかもノリノリで。みんなの分も頼んでいたらしい。「折角だから一緒に可愛い恰好をして、日本の夏祭りとか縁日みたいに過ごしたいなー」 などと目を輝かせて言うから、断れなかった。うーん、困った。着付けも髪の毛の飾り付けも全部アヤとウチのメイド組がやってくれた。もうこれまたノリノリで……。でもね、女性体の時の体を見られるのは何故かすんげー恥ずかしいんだよ。あー、いやマジ勘弁して欲しいけど、アヤがこういうシチュエーションも楽しみたいらしいので、もう今更だなあと逆らわないことにした。段々受け入れていってる自分がいるのは確かだが、アガシャに見られるのだけは一番キツかった。いやマジで。 バトル組の男性陣、エリックにアジーンは男性用の紺色やら暗めの配色の浴衣だ。城内で軽く飲み食いしながら待ってくれていた。って言うかそりゃ気まずいよ、それに俺も男性陣なんだけどね……。そしてユズリハにちょくちょく邪魔され悪戯された。クラーチでの悪夢を思い出すよね、これ……。言っとくけど、昔の日本の伝統みたいなことはしてないぞ。ちゃんと下も穿いてるからな。でも上は勘弁してください。 そしてお祭りセット一式をフル装備で城下に出て来たんだが、浴衣を着ている人が結構いることにも驚いたけど、夜店とか屋台とかも西洋のものと同じくらい日本ぽいのが結構あるんだよ。なんだろなあー、この世界は和洋折衷みたいな感じなんだよなあ。屋台には焼きそばとかたこ焼き、りんご飴、お面とか射的(コルク銃ではなくおもちゃの弓だが)、千本つりみたいなくじ引き(これはまず当たらないからやらない方がいいとみんなには言っておいた)、まあ千里眼や鑑定で視えるしね。うん、でも何だか懐かしい気分になる。 浴衣を初めて着るイヴァやルティは子供の様にはしゃいでいた。アガシャも初めて着たらしいが、少し照れ臭そうだったので、「可愛いし似合ってるぞ」と